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未来への橋を渡るとき、今でもあの足音が聞こえてくる。鉄腕アトムが歩くときの「あの音」だ。子供の僕には、たとえその音が実際に鳴っていなくても、心の耳で聴こえていた。
大人になって、「あの足音」のことを冷静に考えてみた。鉄腕アトムのあの足音は、きっと誰かが作った音だろうと。たぶん、セルロイドの板を歪めた時に出る音なのではないかと、勝手に想像していた。
しかし実際は、磁気テープが擦れる音だったと、このドキュメントを見て知った。
僕は興奮した。そしてため息をついた。想像とは違っていたけれど、それがどうしたというのだ。
あの足音がどういう過程を経て作られていようと、僕の心の耳に聴こえている「鉄腕アトムのあの足音」は、永遠だ。
――佐野元春(ミュージシャン

「それは21世紀の音なんだから今ここにあるはずがない」
アトムの効果音を手がける時、大野さんはそう考えたそうです。
未来の音。それは誰も耳にしたことがないもの。存在しないものを創りだす、
そのアグレッシヴさとユーモアセンス。人間の創造性は時空に縛られず
常に刺激的であれと思わせる。アトムの歩みはそう心を響かせるのです。
――手塚るみ子(プランニング・プロデューサー)

日本音楽史に唯一無二の天才として刻まれるべき音の魔術師と、日本映画史が持ち得た稀代のトリックスター足る映画作家の、あまりにも意外過ぎる異次元格闘技。芸術の例外性をめぐる痛快で感動的なドキュメント!
――佐々木敦(批評家)